医療費控除・住宅ローン控除・ふるさと納税を同時申告する方法
医療費控除の計算、ワンストップ特例が無効になる理由、住宅ローン控除とふるさと納税上限への影響、必要資料を国税庁情報で解説します。
3制度は同じ年に利用できます。ただし医療費控除のため確定申告をすると、申請済みのワンストップ特例は無効です。その年のふるさと納税を全件申告し、医療費控除後の課税所得・住民税所得割を使って寄付上限を再計算します。
3制度は併用できるが計算段階が違う
医療費控除とふるさと納税の寄附金控除は所得控除として課税所得を下げ、住宅ローン控除は計算後の所得税額から差し引く税額控除です。制度同士が排他的なのではなく、同じ申告書の中で順番に反映されます。
医療費控除で所得税が下がると、住宅ローン控除を所得税から引ききれず住民税へ回る部分が増えることがあります。ふるさと納税の上限にも住民税所得割額が関係するため、3制度を別々に試算しないでください。
医療費控除額の基本式
医療費控除額は『実際に支払った医療費-保険金などで補てんされる金額-10万円』で、最高200万円です。総所得金額等が200万円未満なら、10万円ではなく総所得金額等の5%を差し引きます。
高額療養費、入院給付金、出産育児一時金などは、その給付の対象となった医療費を限度に差し引きます。余った補てん額を別の病気の医療費から差し引く必要はありません。
生計を一にする家族分も合算できる
納税者本人だけでなく、生計を一にする配偶者や親族のために支払った対象医療費も合算できます。同居しているかだけでなく、生活費の送金など実際の生計関係で判断します。
通院交通費など対象になり得る費用と、健康診断・美容目的など原則対象外の費用を分け、医療費通知、領収書、交通費記録を整理します。領収書は申告時に提出しなくても、原則5年間の保存が必要です。
確定申告するとワンストップ特例は全件無効
国税庁は、医療費控除などのため確定申告をする人について、ワンストップ特例の申請が無効になると案内しています。寄付先が5自治体以内でも同じです。
ワンストップ申請済みの寄付だけを除外せず、1月1日から12月31日までのふるさと納税を全件、確定申告書の寄附金控除へ含めます。受領証明書や特定事業者の年間証明データで漏れを確認してください。
ふるさと納税上限は下がる可能性がある
医療費控除によって課税所得と住民税所得割額が下がると、ふるさと納税の特例控除の上限である住民税所得割額の20%も小さくなる可能性があります。前年の早見表だけで上限を決めると超過しやすくなります。
年の途中は、年末までに自己負担する医療費から見込補てん額を除き、控除額を安全側に見積もります。当サイトでは申告方法を『確定申告』にし、医療費控除をその他の所得控除へ反映してください。
計算例:年収600万円・医療費50万円
給与収入600万円、社会保険料90万円、扶養なし、2024年入居の認定住宅、2026年末ローン残高2,500万円、取得対価4,000万円とします。2026年に支払った対象医療費が50万円、入院給付金などの補てんが10万円なら、医療費控除額は50万円-10万円-10万円=30万円です。
医療費控除を入れない確定申告の概算は、所得税の課税所得242万円、住民税所得割30万3,000円、住宅ローン控除の住民税分2万7,466円、寄付の計算上限7万8,000円、安全側7万円です。医療費控除30万円を入れると、課税所得212万円、住民税所得割27万3,000円、住宅ローン控除の住民税分5万8,096円、計算上限7万500円、安全側6万3,000円となります。
比較表:30万円の医療費控除を入れた差
この数値は2026年政策表と記載条件による当サイトのオリジナル概算です。医療費控除で寄付上限が下がる一方、所得税が減るため住宅ローン控除の住民税側への移行額が増える流れを、3制度まとめて確認できます。
- 医療費控除なし:課税所得242万円/住民税所得割30万3,000円/寄付上限7万8,000円
- 医療費控除30万円:課税所得212万円/住民税所得割27万3,000円/寄付上限7万500円
- 上限差:7,500円減。安全側の目安は7万円から6万3,000円へ
- 住宅ローン控除の住民税分:2万7,466円から5万8,096円へ増加
セルフメディケーション税制とは選択制
2026年分では、一定の取組を行った人が対象医薬品を購入した場合、通常の医療費控除との選択によりセルフメディケーション税制を利用できます。対象購入費のうち1万2,000円を超える部分が控除され、上限は8万8,000円です。
同じ年に通常の医療費控除と重ねて使うことはできません。両方の見込額を比較し、選んだ方だけを申告します。対象商品の表示だけでなく、国税庁・厚生労働省の対象品目情報も確認してください。
申告前のチェックリスト
- 医療費通知と領収書を照合した
- 高額療養費・保険給付などを対象医療費から差し引いた
- 通常の医療費控除とセルフメディケーション税制を比較した
- ふるさと納税をワンストップ申請分も含め全件入力した
- 住宅ローン控除の年末残高情報と住宅区分を確認した
- 医療費控除後の条件で寄付上限を再計算した
よくある誤り
医療費控除は税額が控除額と同額戻る制度ではありません。課税所得から差し引いた後、所得税率・住民税率などを通じて税負担が変わります。
- 支払医療費50万円をそのまま所得控除へ入力する
- 入院給付金や高額療養費を差し引かない
- 補てん額の余りを別の医療費からも差し引く
- 医療費控除とセルフメディケーション税制を同じ年に重ねる
- 確定申告でワンストップ申請済みの寄付を除外する
- 医療費控除前の早見表で上限まで寄付する
公式資料・出典
本記事は次の政府公式資料を基に作成しています。個別の申告は、国税庁・自治体または税理士へご確認ください。