住宅ローン控除が住民税に回る仕組み|上限9万7,500円とふるさと納税への影響
所得税で引ききれない住宅ローン控除が翌年度の住民税から控除される仕組み、2022年以後の入居で原則となる上限9万7,500円、ふるさと納税との関係を公式資料に基づき解説します。
住宅ローン控除可能額がその年の所得税額を上回ると、引ききれない額の全部または一部が翌年度の住民税所得割から控除されます。2022年以後に入居した一般的なケースでは、控除できる額は「所得税の課税総所得金額等の5%(最高9万7,500円)」と所得税で引ききれなかった額のうち小さい方が基本です。入居年や取得時の消費税率によって旧特例が適用される場合があるため、入居年月は必ず確認してください。
まず所得税、残りが翌年度の住民税へ
住宅ローン控除は、年末ローン残高や住宅区分などから求めた控除可能額を、その年分の所得税から差し引く税額控除です。所得税だけで控除しきれない額がある場合、一定の範囲で翌年度の個人住民税の所得割から控除されます。
住民税へ回るのは控除可能額の全額ではなく、所得税で実際に引ききれなかった部分です。住民税の均等割・森林環境税から差し引く制度でもありません。
2022年以後の入居は原則「5%・最高9万7,500円」
横浜市の令和8年度住民税の計算説明では、前年分の所得税から引ききれなかった額について、前年分の所得税の課税総所得金額等の5%、最高9万7,500円を限度とする計算が示されています。2022年以後に入居した一般的な住宅ローン控除では、この枠を確認します。
2014年から2021年まで(一定の場合は2022年まで)の入居で、消費税率8%または10%が適用された特定取得等に該当する場合は、7%・最高13万6,500円の旧拡充分が適用されることがあります。9万7,500円を全員共通の上限とは考えず、源泉徴収票の居住開始年月日と控除区分を確認してください。
計算例:引ききれない8万円がある場合
例として、住宅ローン控除可能額が21万円、その年の控除前所得税額が13万円なら、所得税で引ききれない額は8万円です。課税総所得金額等の5%が9万7,500円以上になる人であれば、住民税側の上限内なので8万円が翌年度の住民税所得割から控除される計算です。
一方、課税総所得金額等の5%が6万円なら、住民税から控除できるのは最大6万円です。残る2万円がさらに翌年へ繰り越される制度ではありません。実際の所得税には復興特別所得税なども関係するため、この例は仕組みを理解するための概算です。
ふるさと納税の上限と単純な引き算はできない
ふるさと納税の特例控除には、住民税所得割額を基礎にした上限があります。住宅ローン控除も住民税から差し引かれることがありますが、「住民税の住宅ローン控除額を、そのままふるさと納税上限から引く」という計算ではありません。
特に確定申告では、ふるさと納税の寄附金控除が課税所得と所得税を下げ、その結果、住宅ローン控除のうち住民税へ回る額が増えることがあります。所得税・住民税・申告方法を同じ計算の中で確認する必要があります。
年の途中に確認する4つの数字
源泉徴収票がまだない時期は、当サイトの簡易モードで見込み値を入れ、計算上の上限より余裕を持たせて寄付する方法が現実的です。年末残高証明書や年末の給与額が分かった時点で再計算してください。
- 今年の給与収入見込み(賞与を含む)
- 住宅ローンの年末残高見込みと住宅区分
- 住宅ローン控除の居住開始年月日
- 扶養、社会保険料、iDeCo、医療費控除などの所得控除
源泉徴収票で見る場所
年末調整で所得税から引ききれない額があるときは、源泉徴収票の「住宅借入金等特別控除可能額」に控除可能額が記載されます。「住宅借入金等特別控除の額」は実際に所得税から控除された額です。両者が異なる場合は、住民税へ回る可能性があります。
翌年5月から6月ごろに届く住民税決定通知書では、「住宅借入金等特別税額控除額」や摘要欄を確認します。様式は自治体によって異なるため、見つからない場合は1月1日時点の住所地の市区町村へ問い合わせてください。
よくある誤解
- 年末残高の0.7%が必ず全額戻るわけではない
- 住民税側の上限9万7,500円は控除額の保証ではない
- 入居年によって旧制度の13万6,500円上限が残る場合がある
- 住民税で引ききれない額を翌年度以後へ繰り越すことはできない
公式資料・出典
本記事は次の政府公式資料を基に作成しています。個別の申告は、国税庁・自治体または税理士へご確認ください。