住宅ローン控除の住民税上限はいくら?9万7,500円の条件とふるさと納税への影響

執筆・編集ふる住控除ナビ運営事務局
制度・出典確認2026-10-01
計算エンジンv2026.10.1
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所得税で引ききれない住宅ローン控除は住民税からいくら控除できるのか。2022年以後入居で原則上限9万7,500円となる計算、適用条件、ふるさと納税の上限への影響を数字例で解説します。

先に結論

住宅ローン控除可能額がその年の所得税額を上回ると、引ききれない額の全部または一部が翌年度の住民税所得割から控除されます。2022年以後に入居した一般的なケースでは、控除できる額は「所得税の課税総所得金額等の5%(最高9万7,500円)」と所得税で引ききれなかった額のうち小さい方が基本です。入居年や取得時の消費税率によって旧特例が適用される場合があるため、入居年月は必ず確認してください。

まず所得税、残りが翌年度の住民税へ

住宅ローン控除は、年末ローン残高や住宅区分などから求めた控除可能額を、その年分の所得税から差し引く税額控除です。所得税だけで控除しきれない額がある場合、一定の範囲で翌年度の個人住民税の所得割から控除されます。

住民税へ回るのは控除可能額の全額ではなく、所得税で実際に引ききれなかった部分です。住民税の均等割・森林環境税から差し引く制度でもありません。

2022年以後の入居は原則「5%・最高9万7,500円」

横浜市の令和8年度住民税の計算説明では、前年分の所得税から引ききれなかった額について、前年分の所得税の課税総所得金額等の5%、最高9万7,500円を限度とする計算が示されています。2022年以後に入居した一般的な住宅ローン控除では、この枠を確認します。

2014年から2021年まで(一定の場合は2022年まで)の入居で、消費税率8%または10%が適用された特定取得等に該当する場合は、7%・最高13万6,500円の旧拡充分が適用されることがあります。9万7,500円を全員共通の上限とは考えず、源泉徴収票の居住開始年月日と控除区分を確認してください。

計算例:引ききれない8万円がある場合

例として、住宅ローン控除可能額が21万円、その年の控除前所得税額が13万円なら、所得税で引ききれない額は8万円です。課税総所得金額等の5%が9万7,500円以上になる人であれば、住民税側の上限内なので8万円が翌年度の住民税所得割から控除される計算です。

一方、課税総所得金額等の5%が6万円なら、住民税から控除できるのは最大6万円です。残る2万円がさらに翌年へ繰り越される制度ではありません。実際の所得税には復興特別所得税なども関係するため、この例は仕組みを理解するための概算です。

完全計算例A:年収400万円なら8万2,825円

2026年の給与収入400万円、社会保険料60万円、配偶者控除・扶養控除なし、2024年入居の認定住宅、年末ローン残高2,000万円、取得対価4,000万円とします。住宅ローン控除可能額は14万円です。

所得税の課税所得は112万円、控除前所得税等の概算は5万7,175円です。14万円から所得税分を引いた8万2,825円が住民税へ回り、9万7,500円の制度上限内に収まります。住民税所得割概算は17万3,000円、寄付の計算上限は4万2,800円、安全側は3万8,000円です。

完全計算例B:年収300万円では上限に到達

住宅条件を例Aと同じにし、給与収入300万円、社会保険料45万円とします。所得税の課税所得は53万円、控除前所得税等の概算は2万7,056円です。住宅ローン控除14万円から所得税分を引いた残りは11万2,944円ですが、住民税側は9万7,500円が上限です。

このため住民税から控除できる住宅ローン控除は9万7,500円で、差額1万5,444円はこの概算では使い切れません。『年末残高2,000万円×0.7%=14万円が必ず全額戻る』わけではないことが分かります。寄付の計算上限は1万8,600円、安全側は1万6,000円です。

比較表:9万7,500円は保証額ではない

年収だけでなく、社会保険料、扶養、iDeCo、医療費控除などでも所得税額が変わります。数字は当サイトの2026年政策表と公開エンジンによるオリジナル概算です。

  • 年収400万円:控除前所得税5万7,175円/住民税の住宅ローン控除8万2,825円/未使用0円
  • 年収300万円:控除前所得税2万7,056円/住民税の住宅ローン控除9万7,500円/未使用1万5,444円
  • 共通:認定住宅、2024年入居、年末残高2,000万円、住宅ローン控除可能額14万円
  • 結論:所得税で引ききれない額と住民税側の上限の小さい方まで

ふるさと納税の上限と単純な引き算はできない

ふるさと納税の特例控除には、住民税所得割額を基礎にした上限があります。住宅ローン控除も住民税から差し引かれることがありますが、「住民税の住宅ローン控除額を、そのままふるさと納税上限から引く」という計算ではありません。

特に確定申告では、ふるさと納税の寄附金控除が課税所得と所得税を下げ、その結果、住宅ローン控除のうち住民税へ回る額が増えることがあります。所得税・住民税・申告方法を同じ計算の中で確認する必要があります。

年の途中に確認する4つの数字

源泉徴収票がまだない時期は、当サイトの簡易モードで見込み値を入れ、計算上の上限より余裕を持たせて寄付する方法が現実的です。年末残高証明書や年末の給与額が分かった時点で再計算してください。

  • 今年の給与収入見込み(賞与を含む)
  • 住宅ローンの年末残高見込みと住宅区分
  • 住宅ローン控除の居住開始年月日
  • 扶養、社会保険料、iDeCo、医療費控除などの所得控除

源泉徴収票で見る場所

年末調整で所得税から引ききれない額があるときは、源泉徴収票の「住宅借入金等特別控除可能額」に控除可能額が記載されます。「住宅借入金等特別控除の額」は実際に所得税から控除された額です。両者が異なる場合は、住民税へ回る可能性があります。

翌年5月から6月ごろに届く住民税決定通知書では、「住宅借入金等特別税額控除額」や摘要欄を確認します。様式は自治体によって異なるため、見つからない場合は1月1日時点の住所地の市区町村へ問い合わせてください。

判断フロー

源泉徴収票の住宅借入金等特別控除可能額と実際の控除額が違う場合、翌年度の住民税通知書まで含めて確認します。

  • 年末残高・取得対価・住宅区分から控除可能額を求める
  • 控除前の所得税額を求め、まず所得税から差し引く
  • 残額と住民税側の制度上限を比較する
  • 実際の住民税所得割で控除できる範囲を確認する
  • 同じ条件でふるさと納税上限を再計算する

よくある誤解

  • 年末残高の0.7%が必ず全額戻るわけではない
  • 住民税側の上限9万7,500円は控除額の保証ではない
  • 9万7,500円をふるさと納税上限から直接引く
  • 入居年によって旧制度の13万6,500円上限が残る場合がある
  • 住民税で引ききれない額を翌年度以後へ繰り越せると思う

公式資料・出典

本記事は次の政府公式資料を基に作成しています。個別の申告は、国税庁・自治体または税理士へご確認ください。